若手社員の「企業型DC」運用について④

花子

「株式100%」「インデックス型」「信託報酬0.3%以下」「純資産総額50億円以上」ここまでは分かったわ。だけど「どの地域」に投資するかの話がまだないみたいだけど?

クルーニー

さすが花子さん! するどいね! では「企業型DC」で選択すべき「投資地域」について説明するよ。

目次

ポイント

今回は若手社員のみなさんが「企業型確定拠出年金(企業型DC)」で選ぶべき「地域」について考察します。私が推すのは以下の三つです。

・「全世界」
・「先進国」
・「米国(S&P500、VTI)」

5つの「地域」

「投資地域」は大きくは「日本」「米国」「先進国」「新興国」「全世界」の5つに分類できます。それぞれの特徴について説明します。

「日本」

まずは「日本」から説明します。今から三十数年前のバブル期には時価総額で世界の株式市場の「45%」を占めるという時代もありました(まるで今の「米国」のようですよね)。ところがバブル崩壊後は20年以上経済の低迷が続きました。これを「失われた20年」などと言ったりもします。その後第2次安倍内閣から始まった「アベノミクス」から現在までの直近10年ほどは、株価市場は堅調な動きとなっています。

ただ「日本」はご承知の通り「人口減少」と「高齢化」が急速に進展しています。現在約1億2600万人の人口は右肩下がりに減少し、50年前後には1億人を割り込む模様です。人口減少は「働き手の減少」→「経済成長の鈍化」と考えるのが理にかなっており、日本株の将来への投資には悲観的な意見が多いです。

結論:「日本」だけに全力100%で投資することは避ける。

「米国」

「米国」の特徴は何といってもその大きさです。現在では時価総額で世界の株式市場の半分以上(約58%)を占めています。それがゆえに世界の経済や他の株式市場に大きな影響を与え、世界を常にリードしています。「ITバブル崩壊」や「リーマン・ショック」などの大きな暴落もありましたが、長期的には右肩上がりであり、特にここ十数年は絶好調です。米国市場に上場している主要企業を見ると、「アップル」「アルファベット(グーグル)」「マイクロソフト」など世界の時価総額トップ10に入る一流企業がぞろぞろあります。

米国は先進国の中でこれからも人口が増え続ける数少ない国のうちの一つでもあります。もともと個人消費も多く世界最大のGDP(国内総生産)を誇ります。そのためこれからも内需が拡大することが予想され米国市場の潜在成長力はまだまだ大きいという意見が圧倒的多数です。

結論:「米国」だけに全力100%投資するのは、ありです!

「新興国」

「新興国」は下記のような国々のことをいいます。

引用元:eMAXIS Slim 新興国株式インデックス 交付目論見書 2021.01.27 

「新興国」の総人口は2010年から2020年にかけて50億人から65億人へと大きく増加しました。特に生産や消費の担い手である「労働人口」は、先進国の約5倍に達しており、経済成長の大きな原動力となっています。またインフラ整備のための投資の拡大や生産性向上による成長余地が大きいことや、いわゆるレガシー資産が少ないため最新の技術を導入しやすいことも、経済成長にとっては追い風といわれています。

しかしながら「新興国」に対して否定的な意見もあります。「新興国」の中には政情不安であったり、内戦やテロが起こる可能性が高い国や地域があるからです。また金融システムが不安定だったり、資本主義の発展に不可欠な前提条件であるグローバリズム(人・物・金の移動の自由化)が機能していないという指摘もあります。

いずれにしてもこの「5地域」の中では一番「ハイリスク・ハイリターン」であることに間違いはなく、その不安定さをどう考えるかがポイントになります。

結論:「新興国」だけに全力100%で投資することは避ける。

「先進国」

「先進国」とは経済や技術が発展して国民の生活水準が高い、経済が大きく発展した国々の総称として使われています。一般的に以下の国々を対象としており22か国に地域分散しています。「米国」はこの分類に入っていますが、「日本」は入っていないことに注意してください。

引用元:eMAXIS Slim 先進国株式インデックス 交付目論見書 2021.01.27

「先進国」は時価総額で「米国」が72%と圧倒的な割合を占めており、良くも悪くも「米国」次第の運用成績になります。なおかつヨーロッパを中心とした他の「先進国」に分散投資することによって、「米国」のみに投資するよりもリスクを低減することができるといえます。

結論:「先進国」だけに全力100%投資するのは、ありです!

「全世界」

「全世界」という言葉通り、世界の株式市場すべてに「時価総額加重平均」で投資するものです。

引用元:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) 交付目論見書 2021.01.27

「全世界」といえども「米国」の比率が58%もあります。ですので当然にアメリカ株式に大きく影響を受けます。また「新興国」「日本」にも分散投資しているので、「先進国」よりも更に分散が効いているといえます。

ちなみに「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2020」で昨年、第1位に輝いたのが、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」でした。投資信託の隅々まで調べて研究している「インデックスブロガー」が、いったい何を認めたのかというと、「全世界」のリターンとリスクのバランスだったのだと管理人はおもいます。

結論:「全世界」だけに全力100%投資するのは、ありです!

まとめ

みなさんは「企業型DC」で以下の商品を選ばれることをお勧めします。

・「全世界」株式インデックスファンド
・「先進国」株式インデックスファンド
・「米国(S&P500、VTI)」株式インデックスファンド

  ※いずれも「信託報酬0.3%以下」「純資産総額50億円以上」

なかには「『全世界』がいいのか? 『先進国』がいいのか? それとも『米国』か?」と、この3つからどれを選択するかで悩んでいる方がいらっしゃるかもしれません。しかしどれを選んでも大丈夫です。大勢に影響はありません。どれを選んでも正解です。

それよりも問題となるのは、上記に該当する商品が自社の「企業型DC」の中にあるかどうかです。この点については別の機会にお話します。

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