若手社員の「企業型DC」運用について②

前回「企業型確定拠出年金(企業型DC)」は「株式100%」の商品を選ぶ、という話をしました。ご理解いただけましたでしょうか? さて今回は投資信託の「運用方法」の違いから、商品を選定するポイントを説明してみたいと思います。

目次

ポイント

投資信託は「運用方法(方針)」によって「インデックス(パッシブ)型」と「アクティブ型」の2種類に区分されます。おそらくみなさんは「『インデックス』って何?『アクティブ』って何?」という状態だと思います。当然です。心配しないでください。今回のポイントは以下となります。

「インデックス(パッシブ)型」商品を選択する

「インデックス型」商品を推す理由

まず最初に「インデックス型」と「アクティブ型」の違いについて説明します。その後、どうして私が「インデックス型」商品をお勧めするのかの理由を説明していきますね。

「インデックス(パッシブ)型」商品とは

「インデックス型」とは「株価指数」と連動したリターンを目指すやり方です。「株価指数」のことを「インデックス」というのでこのように呼ばれています(ちなみに「パッシブ」とは「受動的」という意味です)。

この「株価指数」とは、「株式市場全体」や「特定の株価の集り」などの株価の動きを表すもの、であり「株式市場や株価の集り全体の平均値」ととらえると分かりやすいと思います。皆さんが聞いたことのある「株価指数」はこんなものではないでしょうか?

主要株価指数
  1. 日経平均株価(「日経平均」「日経平均225」とも呼ばれます)
  2. TOPIX(東証株価指数)
  3. NYダウ(「ニューヨークダウ」「ダウ平均」「ダウ工業30種平均」とも呼ばれます)
  4. S&P500
  5. ナスダック(NASDAQ総合指数)

「インデックス型」は上記のような「株価指数」と連動するように運用します。つまり、これら株式を「均一的・機械的」に、言い方を変えれば「ロボット」のように売買することで「平均値」をとる仕組みのことなのです。

「アクティブ型」商品とは

これに対して「アクティブ型」とは、上記の株価指数を上回る投資成果を目指すやり方です(「アクティブ」とは「能動的」という意味ですね)。平均以上を目指すわけですから、ファンドマネージャーやアナリストなどの投資の専門家(プロ)が目利きをして積極的に運用することになります。

具体的には、投資先の候補となる企業や国を個別に丁寧に調査・検証した上で、より成長が見込め、利益を生み出す投資先を発掘して売買をします。当然日々の運用成果を高めるため、その時の情勢に合わせた投資先の入れ替えや売買等を機動的に行います。

ここまでの話だと「アクティブ型」の方がなにか良さそうな感じがしますよね。でも、もうちょっと説明しますから、我慢して次に進んでください。

コストは「インデックス型」が安い

「インデックス型」は機械的・均一的に(ロボットのように)、投資をする仕組みなのでほとんど人の手がかかりません。そのため「信託報酬」という手数料が相対的に安いといえます。

一方「アクティブ型」は「プロが目利きをする」わけですから、運用に際してそれ相応の人件費がかかってきます。そのため、前述の「信託報酬」が「インデックス型」と比較して相対的に高くなってしまうのです。

「インデックス型」の「信託報酬」はおおよそ年「0.1~0.5%」です。これに対して「アクティブ型」は年「1.0~2.0%」程度となります。仮に、同じようなカテゴリーに投資する場合、信託報酬率が片や年0.5%で、もう一方が年2%だとすると、1年間で1.5%もの差がつきます。このコスト差が「アクティブ型」のリターンを蝕み、結果的に「アクティブ型」が「インデックス型」に負けてしまう原因になっているケースが結構多いようです。

「インデックス型」は市場平均通りの安定したリターンになる

「インデックス型」は、投資家から預かったお金を指数に採用されている投資先へ均一に振り分けています。指数と100%連動させることは不可能ですが、「限りなく指数に近い動き」になるように運用していきます。ですから指数が良ければ株価は上がりますし、指数が下がれば株価も同じように下がり、良くも悪くも「ほぼ市場平均通り」のリターンに落ちつきます。

一方「アクティブ」型は、人の手をかけてコストもかかる分「市場平均」以上(つまりは「インデックス型」以上)のリターンを出さねばなりません。そうでなければ存在意義がないわけですから。しかしながら実際は、運用者の巧拙によって、リターンに大きな差が生じているのが現状であり、半数以上の「アクティブ型」が「インデックス型」に劣後しているとも言われています。

「インデックス型」を凌駕する大きなリターンを獲得している素晴らしい「アクティブ型」も確かに存在します。こういったファンドには物凄く優秀なファンドマネージャーがいるのでしょう。しかしながら同じファンドマネージャーが未来永劫、運用をし続けるわけではありません。ですので今成績が優秀な「アクティブ型」が、将来もそうなるかは不確定な要素が大きいと考えます。

まとめ

まとめると「インデックス型」と「アクティブ型」のどちらが絶対に良いということは決められません。ただ合理的に考えると、市場平均を上回るリターンの保証がなく、高い手数料を払い続ける「アクティブ型」よりも、少なくともほぼ市場平均のリターンが得られて、安い手数料で済む「インデックス型」の方が、長期で運用する「企業型DC」との相性は良さそうだということが言えます。

チャールズエリスは「敗者のゲーム」の中で「個人投資家はインデックスファンドに投資をして、それをひたすら持ち続けろ」と言っています。「企業DC」においても「インデックス型」を選択することは、現時点で最適解であると管理人は考えます。

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