企業型DCで「元本確保型」を選んではいけない

「企業型DC(確定拠出年金)」の加入者のうち半分の人が「元本確保型」を買っているという現実があります。儲けに税金がかからない制度なのに実にもったいないです。

結果として「定期預金」と「投資信託」では、退職の際にとんでもない大きな差が付いてしまいます。何も知らなかったために、若いみなさんが将来「こんなはずじゃなかった」などとなってほしくありません。

企業型DCでは「元本確保型」を選ばずに資産形成することをあらためて提案したいとおもいます。

目次

「元本確保型」を選んでしまう理由

  • 「この商品は『定期預金』なのでお金が減りません。安全資産ですよ」
  • 「この商品は『株式』なので『ハイリスクハイリターン』ですよ」
  • 「この商品は『債権』なので『ミドルリスクミドルリターン』ですよ」

「企業型DC」の導入時研修などで、こんな風に説明を受けたことはないでしょうか? 

「企業型DC」は会社が掛け金を出してくれますが、「運用指図」つまり「商品選び」は社員個人が行なわなければなりません。投資経験のない人は訳が分からないので、安全をとって「元本確保型」を選んでしまうのは当然といえます。

会社によっては「元本確保型」がデフォルト(初期設定)となっていますので、社員からの指定がなければ、自動的に「定期預金」が選択されてしまいます。

その結果半分の人が「元本確保型」商品を選んでしまっているのです。

「株式100%の外国株式」がベスト

上記研修の説明は正しいのですが、一面を見た考え方であるともおもいます。確かに今すぐ1年間の結果だったらそうなるかもしれません。しかし「企業型DC」は20年とか30年という超長期で、かつ積立で運用していくものです。そうすると違った考え方もできます。

「企業型DC」で選択すべき商品はズバリ「株式100%の外国株式」です。

外国株式には「米国株式」「先進国株式」「全世界株式」等があります。ただ「企業型DC」の場合「先進国株式」の扱いが圧倒的に多く、「米国株式」「全世界株式」は扱っている企業はまだまだ少ないようです。ですので自社の「企業型DC」リストにある「先進国株式」の商品を選べばOKです。

投資初心者の方だと「株式」が怖いと感じる人がいるかもしれません。「株式」は確かに価格の変動が大きく、「ITバブル」「リーマンショック」「コロナショック」のようなタイミングでは、平気で30%以上下落したこともありました。

しかし「外国株式」、特に「米国株式」は、どの暴落でも時間が解決してきました。長期に渡って投資を継続すれば利益を上げられる可能性が極めて高いのです。

「インデックス」と「アクティブ」

「先進国株式」を選ぶにしても、投資信託には「インデックス」と「アクティブ」の2種類があります。

「インデックスファンド」はなんらかの株価指数に連動する投資信託のことをいいます。「先進国株式」の場合は「MSCIコクサイ」という指数をベンチマークしている商品が多いです。また「インデックスファンド」は市場平均をとりに行く商品で、手数料が安いという特徴があります。

一方「アクティブファンド」は市場平均以上の目指す投資信託といえます。ファンドマネージャーの手間がかかるため、手数料が「インデックス」と比較して、どうしても高くなってしまいます。また統計的には、8割方の「アクティブファンド」が「インデックス」にパフォーマンスで負けているということです。

以上の理由から「アクティブファンド」よりも「インデックスファンド」を選択すべきと考えます。

商品選びのポイント

「先進国株式」の中身を見ると、今現在は「米国」が約7割を占めています。「MSCIコクサイ」は「時価総額加重平均」ですので、大きい会社は多く組み入れ、小さい会社は少なく組み入れるという方式で価額が決まります。つまり時世に合わせて自動で銘柄を組み替えていくので、バランスのとれた比率が維持されています。

「企業型DC」の商品選びのポイントをまとめると以下のとおりとなります。

  • 「外国株式(先進国株式)」をえらぶ
  • 「インデックス型」をえらぶ
  • 「手数料が安い」商品を選ぶ(信託報酬0.3%以下)
  • 「購入時手数料」「信託財産収保額」がないものを選ぶ

まともな商品がない場合

「企業型DC」の商品ラインナップの良し悪しは、会社が契約する金融機関次第といっていいでしょう。

自分の会社の「企業型DC」にまともな商品がないというケースが多々あります。例えば「インデックス型」には手数料の高いものしかなかったり、「アクティブ型」しかなかったりする場合です。この場合はそれを買うしかないと考えます。

同じ「インデックス型」で手数料が高い場合は、その手数料の差がリターンの差となります。そのリターンの差には目をつむり、手数料が高めの「インデックス型」を買うのがいいでしょう。「外国株式」なので相応の利益は手元に残ります。

一方「アクティブ型」しかない場合は「アクティブ型」を買います。複数の「アクティブ型」がある場合は、過去のパフォーマンスを比較して実績の高いものを選ぶようにして下さい。

[アクティブ型」の中には「インデックス型」を上回る商品もあれば、下回るものもあります。仮に選んだ商品が「インデックス型」を下回るパフォーマンスであってもその商品を選択しましょう。

「外国株式」を選択しているので相応のリターンになるはずです。「定期預金」を買ってほとんどリターンがないことを考えれば、断然「アクティブ型」の「外国株式」を買った方がいいです。

まとめ

「企業型DC」は適切な商品を選択すれば、将来自分が受け取るお金が格段に増えてきます。その適切な商品は「株式100%の外国株式」です。

もし「定期預金」などを選んでしまうと、「物価上昇」のパーセントに負けて、実質価値が目減りする可能性もあります。安全策を取ったつもりが、インフレで逆にお金を失うことになるのです。

とにもかくにも「企業型DC」では「元本確保型」を脱却して、「株式100%の外国株」で積極的に資産形成をすることをお勧めします。

投資は経験しないと身に付きません。水泳の本を読んでも、水に入らなければ泳げないのと一緒です。水中でバタバタして少しずつ慣れて、ようやく自分なりの泳ぎ方が身に付きます。投資もそれと同じです。

若いみなさんには「企業型確定拠出年金」を通じて、積極投資の体験をして、自身の投資スキルを磨いていってもらいたいです。

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